HMBはここ数年大きな注目を集めてHMBサプリというサプリメントのジャンルを作り出した注目度の高いで成分です。
芸能人を使った誇大広告も多いジャンルなので、HMBは怪しい成分と認識してしまっている人もいますが、成分そのものは確かに筋肉に対してメリットのあるものです。
広告で見かけるHMBサプリメントなどはどれもHMBはプロテイン20杯分がどうのこうの…というような解説ばかりで、正しいメカニズムなどはほとんど語られていません。
なのでここではHMBとは何なのか。そしてHMBに期待できる効果や筋肉への効き方などをわかりやすくまとめていきたいと思います。
もくじ
HMBとは
HMBの正式名称はβ-hydroxy-β-methylbutyrate(3-ヒドロキシイソ吉草酸)というもので、筋肉の分解を防ぐ働きや筋肉の合成を促す働きなどがある成分です。
昔からボディビルダーなどの間では愛用している人がいましたが、最近はプロアスリートや格闘家、一般人で筋トレをしている人などの間でも利用者が増えてきています。
HMBはロイシンから代謝されたもの
HMBはロイシンというアミノ酸が体内で分解されて代謝されたときに発生する成分です。
ロイシンといえば筋トレ好きの方が大好きなプロテインなどにもたくさん含まれている成分です。BCAAという呼ばれ方をするバリン・ロイシン・イソロイシンの3つのアミノ酸の中の一つでもあります。
つまりBCAAをプロテインやサプリメントから補給すると、体内で代謝されてHMBが作られるということです。
赤身肉や魚などを食べると体内で作られる
HMBを作るためにはロイシンが必要になるのですが、赤身肉や魚介類、乳製品など一般的な食品にも含まれているものがたくさんあります。
直接HMBを摂取しなくてもロイシンが含まれる食品やプロテインを摂取すれば間接的にHMBが体内に増えることになります。
サプリメントから補給するのが最も効率がいい

HMBは食品にそのままの状態で入っているわけではなく、ロイシンから一度体内を通してHMBに変換されます。
摂取したロイシン量の全てがHMBに変換されるわけではなく、ロイシン量全体の約5%ほどしかHMBは作られません。
つまり食品やプロテインなどからたっぷりロイシンを摂取してお腹いっぱいになったとしても、そのうちの5%しかHMBが作られないのでHMBの量はさほど多くないということです。
この問題を解決するには直接HMBを摂取する方法が今注目されています。
HMBサプリなら最初からHMBを直接体内に摂れるので、ロイシンを代謝する工程がスキップされることになります。
さらに摂取できるHMBの量についても食品やプロテインからロイシンを通して摂り入れるHMBの量とは比べ物にならないくらい多いので効率もグッと良くなります。
HMBに期待される効果
簡単にいえばHMBは筋肉を増やしたい人に良い成分なのですが、具体的にどんな仕組みで筋肉に効いてくれるのかわかりやすくまとめました。
筋力の強度が高まる
激しいトレーニングを行うには筋肉の強度も必要です。
例えばベンチプレスなどで重い重量を持ち上げたりする時などは筋力の強度が重要になってきます。
HMBを補給することで筋力の強度がアップするのでより重い重量に耐えられるようになります。
重い重量でトレーニングできればそれだけ早く筋肉も増えるので効率アップにつながります。
耐久力が高まる
HMBは瞬発的な筋力の強度が高まるだけではなく、耐久力の向上にも効果的です。
例えば何も摂取しなかったらベンチプレス10回で限界になっていたところが、HMBによって20回まで耐えられるようになるというイメージです。
もちろんこれは極端な例えですが、継続してHMBを摂取し続ければそのくらいのインパクトは期待できます。
これもよりたくさんのトレーニングができるようになるので、筋トレ効率アップに直結してきます。
高負荷トレーニング後のダメージ回復
筋肉に負荷をかけてトレーニングをすると筋細胞がダメージを負いますので回復するまで休息をとる必要がでてきます。
その間は他の部位を鍛えたり、トレーニングを休んだりしながら超回復を待つのが一般的です。
HMBを摂取するとこの超回復に必要な時間を短縮することができます。
激しい運動で筋肉痛になると3日くらい痛みが取れなかったりすることもありますが、1日の休息で回復できたりするというイメージです。
血圧・コレステロール値の低下
あまり日本ではHMBが血圧やコレステロールなどの低下にも良いという話はでていませんが、海外の論文や研究などを見るとHMBが血圧やコレステロール値に対して良い効果を発揮するという結果も出ていました。
もちろん薬ではないので急激に低下したりするものではないですが、続けて摂取すればやや高めの数値が正常なところに落ち着くくらいの効果は期待してもよさそうです。
参考文献:Wilson et al. Journal of the International Society of Sports Nutrition(英語)

HMBはダイエットにも活用できる
HMBは筋肉に対してメリットになる様々な効果がある成分ですが、ダイエットについてもメリットはいくつかあります。
筋肉が増えると代謝がよくなる
HMBを摂取しながらトレーニングをすることでトレーニング経験が少ない初心者でも筋肉が付きやすくなります。
筋肉が増えてくると代謝も良くなるので無駄な脂肪などが落ちやすくなってきます。
また基礎代謝が向上すればトレーニングをしていない間でも消費できるエネルギー量が増えるので、脂肪がつきにくくなります。
疲れにくくなるから運動の頻度を増やせる
HMBを摂ると筋肉の疲労回復を早めてくれりので、運動の頻度を増やすこともできるようになります。
いつもだったら今日は疲れたから運動は辞めておこうかな…と感じるような時でも普通に有酸素運動などができる状態を維持できます。
筋肉への負荷が少ない有酸素運動だったら毎日でもできるので、運動による消費エネルギーを増やしてダイエットの効率を高めるという活用方法もあります。
意識的な運動ではなくても普通に生活していて疲れにくくなるならメリットは大きいですよね。

プロテイン20杯分って本当なの?

よく広告などでHMBはプロテイン20杯分の効果があるなどと言われることがあります。
それを真に受けるとたしかに「めちゃくちゃ凄いかも…?」と感じると思いますが、本当に信じても良いのでしょうか。
たった数粒のHMBサプリがプロテイン20杯分に相当するのだったらプロテインなんて必要なくなりますよね。
これについてはプロテインから摂り入れるのがロイシンであり、ロイシンが代謝されてHMBになった場合の数値を換算されたものなので曖昧ですが間違いではないという印象です。
ただロイシンはHMBを代謝する以外にも効果はあるので、純粋に比較することはできません。
あくまでも参考とするイメージのようなもので、実際にHMBサプリ1日分がプロテイン20杯分と全く同じ効果があるわけではないと考えておいたほうがいいでしょう。

まとめ
今回はHMBとはどういった成分で、摂取することによってどんな効果やメリットがあるのかまとめてきました。
いろいろイメージが先行して正しい情報が伝わらないままサプリメントの市場だけが大きくなってしまった感じがありますが、成分としては間違いなく筋肉に対して有効なものです。
ただし、HMBを摂取したからといって何もしないで筋肉がついたりすることはないですし、飲んだから痩せるというものでもありません。
筋肉を増やすためにはHMBを飲んだうえで十分なトレーニングを行う必要もあります。
あくまでもトレーニングの効率を高めるためのツールとして活用するのが一番なので、HMBに対する効果を過信せずに上手く取り入れていくのがいいですね。